2022年度 理事長所信

「縁~出会いやきっかけがより良い未来を切り拓く~」

【はじめに】
今より良いものに。私は常にそういった未来を描いております。
私は想像が出来る未来の姿は必ず実現できると信じております。
出会いは人々の人生を豊かにし、更なる出会いを生み出し自らの環境に変化を生み出します。 私は一つのきっかけで青年会議所に入会し、「明るい豊かな社会の実現」に向けて活動していく中で、多くの方々と出会い多くの成長を得ることができました。
きっかけを大事にすることにより、多くの転機に出会うことができます。転機は人々により良い変化をもたらします。
それは人生を変えるものかもしれません。地域をより良くするものかもしれません。
我々は、より良い縁を紡ぐため、多くの出会いやきっかけをまちに与えていきます。
1968年9月15日、「市民の声なき声を聴こう」という想いのもと、草加青年会議所が創立され今年に至るまで53年にもわたり、様々な成果を市民に与え、歴史と伝統が脈々と受け継がれてまいりました。現在は25万人が暮らすまちとして発展を遂げてきた草加市も、高度成長期から大不況などあらゆる軌跡を経て先人たちの手によって確立された賜物であります。2019年度より、世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、我々日本の経済と国民の健康に甚大な被害を与え、未だ終息が見えない状況に人々は疲弊し何より不安を抱えております。それに伴い生活様式や社会的ルールが変化を強いられ、まさに変革期という時代になりつつあるのではないでしょうか。このような変化の大きい時代においてこそ我々は、調査研究を繰り返し、変化に柔軟に対応し地域の先駆けとなる存在でなければなりません。変えてはならないものは継承し、変化が必要なものは大胆に変革し、常に挑戦心をもって活動してまいります。
より良い草加市のため、市民が手を取り合い、地域が一丸となる為に、まちの未来を開拓していきましょう。


【持続可能な地域へ~シビックプライドの醸成~】
我々の住むまち草加は、都心に隣接しており、その利便性からベッドタウンとして約25万人の人々が暮らしております。1960年から1975年の間に爆発的に人口が増加し、現在に至っても穏やかに増加を続けています。人口分布においては、40代から50代前半と70歳以上が多いという特徴があり、高齢化率は今後一貫して上昇していくと考えられます。全国的にも少子高齢化、世帯の少人数化、集合住宅の進展から、近所付き合いが希薄化し、人と人とのつながりが弱まり社会的孤立や地域を支える担い手不足が懸念される中、草加市の調査においても例外ではなく、気軽に集まれる場、多世代で交流できる機会が求められております。我々の運動においても、世代間交流の場を広め、市民が手を取り合えるまちの実現に向けての発信が必要ですが、その根底に必要なものは、市民の「シビックプライド」の醸成だと私は考えます。
「地域に対する市民の誇りを指す言葉。愛着を示す言葉だけでなく、当事者意識も伴う自負心のこと」 ―シビックプライド―
現状、まちづくり活動をする市民団体は数多くある中で、地域活動に参加したことがないという市民も多く、まだまだ改善の余地があり、「住み続けたいまち草加」としての魅力を創出し、草加市のブランディングを広く周知させる必要があります。住みたいまちとは憧れのまち、住み続けたいまちとは移住継続意向が高いまちを定義とすると、後者には地域への愛着が大きな要素を秘めております。現在、草加市には、草加松原松並木という名所があり、主に高齢者の世代がウォーキングロードや憩いの場として活用されております。ここに付加価値を与え、これからまちを支えていくミレニアル世代が多く集うようにすることで、新たな価値が生まれ、世代間を問わない憩いの場が生まれ、その交流の縁により、このまちは世代を超えて繋がれるまちとなります。それは地域への愛着をもたらすものへとなるでしょう。
地域愛を育む事は、参画意識に繋がり、それはまちを通じた交流の活性化に繋がります。自分たちのまちに関心を持ち、何とかしていこうと考え行動することこそが、持続可能なまちへの第一歩であり基盤となるのです。
「自分たちのまちは自分たちで創り上げる。」
この意識を根付かせることが地域に継続的な力を与え持続可能な地域となります。


【次世代を担う青少年の育成】
次世代を担う子どもたちは、いつの時代においても地域の宝であり、未来に向けての希望です。 未来への担い手を育成することは、「明るい豊かな社会」への重要な運動の一つであり、欠かすことは出来ないと捉えております。これから益々加速するであろう IT 化や AI の普及により、我々大人でさえ未来を想像することが困難な中で、子どもたちの健やかな成長を目指し、見守り続けていかなければなりません。この目まぐるしく変化する時代に適応し健全に成長していくためには、体験や経験を用いた思考の形成と、温かい友情の輪を広げることが大切だと考えます。どのような時代が訪れようと、糧となるのは経験であり、一番の支えになるのは人であります。未来を担っていくための準備期間の今、力強く未来を描けるように可能性を広げる事業を与える事が、未来への礎となることでしょう。
子供たちが求めているものを明確に察知し、健全なる青少年の育成に寄与する為、様々な運動発信を行ってまいります。


【不易流行の精神~新しいものを取り入れる姿勢~】
「不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず」
いつまでも変化をしない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをもとりいれていく。
今、我々に求められているのは、固執した思考のもと年々繰り返すだけの活動を行うことではなく、柔軟な思考を持ち新たな価値を創造する活動が求められていると私は考えます。
新たなものを取り入れる事には、受け入れられるまでに時間がかかることも多いです。必ず反対する人もいるでしょう。しかし、その人たちだけのことを気にしていては前には進めません。 私たちも、一時の非難を恐れず前向きに行動しましょう。行動がすべての基盤となります。
どのような組織も社会の変化に対応できなければ、消滅する運命にあります。組織としての在り方を今一度議論し、地域の皆様に心から信頼されるような組織へと発展していかなければなりません。草加青年会議所の事業であれば協力しよう、参加してみようと思っていただけるようニ ーズを熟考し行動していくことが何よりも必要です。
人は人によって研磨され、志を共にする多くの出会いがある青年会議所は、普段の生活では味わうことのできない多くの機会があります。それぞれの自己成長が自己の発展に繋がっていく、これこそが青年会議所の責務であり魅力だと考えます。当たり前のことが当たり前でなくなった今だからこそ、今まで培ってきた経験やネットワークの強みを活かし、知恵を出し合い具体的な行動をとっていくことが地域から求められていることだと強く感じます。地域と向き合いワクワクするような事業を常に届けることで、草加青年会議所のブランディングへも繋がりより地域から必要とされる組織となります。


【若者世代を巻き込んだ運動発信】
草加市の地域団体は約45の数が存在し、これら団体の方が各分野で地域を支え現在の草加のまちがあります。各団体の会員の世代のヒアリングを行ったうえでも、60歳以上の世代が大半を占めており、40歳未満の世代の割合が著しく少ないことが分かります。現代の世の中は、急速に近代化が進み新たな職種や生活ツールが生み出され、偏りのない柔軟な思考が求められております。
草加のまちは、2017年4月1日松原団地駅から獨協大学前<草加松原>へと駅名を変更し、学園都市としての一歩を踏み出しました。数多くの学生が暮らすこのまちは、未来に向けてのまちといえるでしょう。
2000年頃には学生が社会的ブームを引き起こし、ファッションや流行を先駆け学生世代が社会や企業を巻き込み絶大なる影響力を発揮しました。社会に出るまでのしがらみの少ない学生同士のネットワークもあらゆる可能性を秘めております。このような若者をパートナーとして共に事業を行い、地域に向けた運動を行ってまいります。
今後益々高齢化社会が進行していく中で、地域を考える若者の台頭が良い未来への鍵となります。未来を見据え、若者世代から柔軟な思考で各世代を巻き込み運動展開してまいります。


【メンバーの皆様へ】
「絶対は絶対にない」この言葉は、戦国時代の名将織田信長が残した名言であります。この言葉には、絶対に間違えないと思ったこともそうでなく、常に気を抜くことがないようにという意味の他、絶対に無理だと思ったことでも必ず突破口はある、突き進む道はあるという意味も込められております。
草加青年会議所も53年の歴史を紡ぎ数々の軌跡を残してまいりました。その中で幾度となく様々な問題に直面してきたことでしょう。我々も今、変革の時代を迎え、今こそ我々の真価と進化が問われる時期だと考えます。半世紀にわたる先人たちの知識や経験を取り入れ、更に進化した組織を創り上げ後世に残していかなければなりません。まずは、一生懸命考え、許す限りの時間を使い前向きに JC 活動を行いましょう。青年会議所とは、学び舎であり、自分自身の手で掴みに行く姿勢を失わない限り、幾度でも機会の扉を提供してくれる組織です。
そして我々には、草加市だけにとどまらず全国の仲間たちと知り合う機会があり、その出会いは 爆発的に個人を成長させ、良き変化をもたらします。
私たちは、20代または30代という人生で最も活力あるといわれる時期を、草加青年会議所という組織で活動をすることを選んだのです。
青年会議所とは、社会的に完成された経営者や生活に余裕のある人間のみが集い活動するものではなく、発展途上の志ある若者が青年会議所活動を通じて成長できる、これこそが本質であります。
「縁」を大切に一つひとつの機会に向き合い、有意義で魅力的な1年にしてまいりましょう。


【おわりに】
未来の結末というものは誰しもが分かることではありません。我々の JC 活動においても正解というものはありません。歴史を知らなければ未来は語れません、地域から求められていることを知らなければ地域のためになる活動はできません。
1985年に重さは実に3キロという携帯電話のサービスが開始しました。当時は、価格の観点から一部の方のみにしか浸透しなかったものも、今では一人一台の時代になり25年の月日を経て当時では想像もつかない時代へ移り変わりました。今後インターネット等の発展も常に進化し予想もつかないような時代へと移り変わることでしょう。しかし、必ず弊害が生じることも忘れてはなりません。決して変えてしまってはならないものは変えずに、変えていくものは大胆に変化をもたらす。これがまちづくりにも必要であり我々が行動を起こす使命だと考えます。 まちを良くしていくことは決して簡単なことではなく、行動なしでは叶うものではありません。 考え行動した者のみがまちを良くする権利があるのです。
我々は、縁という機会の扉を開き、大きな目標に向かって青年としての青春を謳歌しております。
豊かな人生は出会いから、縁を結び縁を尊い、縁に従う。
多くのきっかけを地域に提供し、市民を巻き込み、今より良い地域にしていきましょう。
私たちには必ずその力があります。